• Mon.12.20.2021

『古典の効能』

『古典の効能』(寺田真理子 著/林望 監修/雷鳥社)の
ブックデザインを担当しました。

著者の寺田真理子さんは翻訳家であり、心理カウンセラーでもあります。
読書を通じてうつから回復したご自身の体験を体系化した読書療法を
提唱されています。なかでも『枕草子』をはじめとした古典は
読書セラピーにはぴったりなのだそうです。

古典というと学校の授業でしか読んだことがないというひとも
少なくないと思います。わたしもそのひとり。
寺田さんの著書『古典の効能』は、そんなわたしにも古典を
身近に感じさせてくれました。

最初はデザインをする本のことを知るために読んでいたのですが、
次第に「古典の時代に生きた人たちも今を生きる私たちと一緒だし、
地続きなんだ」と思うようになりました。

カバーと章扉は画家の生平桜子さんに描いていただきました。
言葉だけでは説明しきれない古典の魅力を繊細に表現してくださいました。
本のテーマのひとつである「しなやかさ」は造本を考えるうえで大きな
インスピレーションになりました。表紙は芯をなくし仮フランス装
(見返しを貼付けているので正確には違うのですが)の丸背に。
さりげなく光る箔押も気に入っていて、凛とした佇まいのきれいな本になりました。
ぜひ手に取ってその軽やかさを確かめてみてください。
詳しい内容につきましては雷鳥社のHPをご覧ください→